うつつ

季節の猫に触れてはいけない、音楽は常に涙でいっぱい、頭を擡げて、性格とは離れて、 乾いた風景、どこを見渡しても、喉が渇いていて、光を浴びて、虹色でマングローブみたいで、 私は楽器の一部になりたい、どんな情報も、私の心に刺さらない、脱皮前の蛇…

インターゾーン

眠いとき、私は動物みたいな目を持っている、 あさやけ、 白い虫の羽根が窓からの光に舞っている、 青い雷が水平線から、私の朝を満たしている、 身体が溶けていくような日々です、ラヴェンダー色の服を着て、二階の震動に歯が揺れる、この世がこの世でも、…

スナップ・ブック

空の甘い匂いがします。今がいつの季節なのか分からなくて、目眩がします。卵細工の中みたいな明るさの中で、空想を組み立てていくことは楽しいです。遠い知識や、場所や、言葉は、回転する小さな粒のようです。粒は集まり、また小さな遠さを形成します。そ…

願い

1寒い 君の隣りでも 僕は朝焼けを見ている泣き虫な あなたが 怪我をしないよう安定剤を 飲む 感情は痛いから痛いから 宝物をうしなうから 予感がしてる死の予感 僕はここにいないから たくさんの愛の流れは 僕を避け ひとりきり僕は死んでいく 寒い ちぎり…

永遠は

宇宙の中と、銀河の中と、機械工場の中では、同じ音が鳴っていて、その中ではピンクの火花が弾けている。 そこにあって同時にここに無いもの、例えば指先の痛み、モミの樹の林の遠景、桜の花びら、夢、サルビアの蜜、庭土に刺さったガラス、北欧の、世界平和…

神経の夢

1実在なんか求めない。無意味の白さを私は最初から知っていて、命は見ることが出来ないけれど感じた、私は私を躍りで満たした、空は手を伸ばせば届く距離に、心臓は白くディスプレイの向こうに、私は孤独を感じたことはなかった、 表面をどこまでも活字で分…

断片

*僕はどうして、描くのだろう? *気怠い夕方に青い雨、手首を感じて冷たい光、レコード盤を発掘するぼくはクローゼットを散歩するぼくは何も求めていないぼくは何も求めていない *期待するのは 乱立する林の地帯に、タンクローリーが冷たく出来る限りゆっ…

スケープ

まだ青い枇杷が、骨の山から、夕涼みの温度まで、甘い速さを下っていく、「綺麗にしてよ」、と太陽が言う、ペン先で人を描く、指先まで死んだ温度、車も、野原も腐っていく、青い、藪や、一面の野薔薇、 死んだ音がする、水面下で生まれたガラスの汽車が葉っ…

水のスープ

僕のオリーブ色の世界は涼しい部屋、僕の部屋へ南端を張り付けて外はいつでも火葬場と、冷たい果物の皮、神経の通った舶来の氷、醒めた屋根、裏庭の水(コミュニケーションと、くらい泡(( ((木の棒に、ヒヨコマメの青い月(((、木々は窓枠に揺れて安寧に、ケ…

(ripples)

(あなたは、) ひとりきりの部屋で目覚め、あなただけが開くことの出来るパソコンの日付に、奇数をかくにんする。あなたは窓をゆっくりと持ち上げ、首をねじ曲げて、今日の三人称を、水で満たしていく、「今日の彼らは、溺れながら、魚のようにひれが付いて…

残像

僕は僕の知らない表情を浮かべていたから、つまりそれは僕じゃなかった。 あなたは拡い葉っぱのようだった。まるで紙幣みたいに、思い出みたいに揺れていた。影の中で、あなたを、僕は誰としても読み取ることが出来ない。 自殺は、道路の上で、まるですみれ…

無題

右に行けば心臓が左には肺の痛みがある今朝死損なった声帯の(母子が)妙にかゆい 欠けた大空の脳漿が明るく青く漏れて来て折れた魚がとってもイギリス訛りで紺碧の根を枯らすように自閉し 僕は放火する指先を切り落とした *先生から逃げるには酸素が足りず給…

テロメア

君は、暗くて寒い宇宙の果ての黄色い床に突っ伏しながらアルコールの血を、流してる 揮発する花に火を灯して頭の奥の笑みを喰い殺しつつ 君は、病院の検死結果へ自分自身の解剖室へ白く冷たく何もかもを、放り出してしまった、 明るく夢のない全て…… 何だか…

(abuse)

痙攣するプラグを立て、整列する、よろよろした、ねじ曲げて(とろけそうな)パンクチュアルな。心臓の垣根。超えて生きる努力の半分は、犠牲で、とても痛い痛い。 こすれたナイロンぜんそくのイソギンチャク湿ったまめノコギリザメの解剖あんてなのついたま…

海の花の標本

青い花に飾られた風の椅子 壊れた化石 と愛を失った呪術書は 遠い未来を向いたまま乾いた氷柱になってしまった水面下 太陽は揺れていた青く融解された夢コロナ 太陽を透明に包み込んで冷たくなって微笑していた溺れながら夢を見たんだ日光を食べながら生まれ…

さなぎ

汗が流れて、田畑が散る。畦によろしく、わさびにもよろしく、全世界によろしく。人型の充電器で、今日は衛兵として、明日は線条結線として。マリネに込められた、様子見、豆がつぶれ、雲みたいに平静を保っている。仲間割れが、拡散する、ケットシーの群れ…

神経の泉

私に時間は無いし永遠もない私は血に支えられてる皆年老いて死ぬ?皆とは誰だ?私は私が空気に掠れる音と孤独と言葉と音楽しか今は何にも持ちたくない 私の中でゆっくり血が騒ぐとき血の泡立つ音の中でまだ見ぬ世界の文字が弾ける 私は空き家のまま朽ち果て…

陸路

人生を通り越した、知らない間に。 自分を信じない。私の身体には、冷たい部分と熱い部分があって、どちらを差し出せば君が喜ぶか、私には分からない。だから吐いている、影の中で、 「さよなら世界」、眠る間もなく、広告塔に照らされて、産まれたときから…

即興II

おぼえてて、計画的な世界へ。 許されないのはメロディが愛されないこと、それらが懐疑的に分解され、記号となって、溶けていく先はあなたの、空。 何だか工芸品のように、 攻撃的な色合いをした、新しい、 治されない世界、 守りたくなるような、血、みじめ…

消えていく

部屋の片付けをしている、私は自分自身の部屋が嫌いだ、 本は呼吸している、まるで排他的に、言葉なんか乗り物に過ぎないのに、 私はいっそ修道僧になりたい、でもそれは世界がつまらないと認めることかな?世界中をトランス状態に出来ないかな?インターネ…

なぜ

なぜつらいときも君は黙っていなきゃいけないのなぜ忘れたい思い出ばかりがたまっていくのなぜ僕らの遊園地には雨が降るのなぜため息ばかりが簡単に人を殺すの なぜ人間は平等だなんて言えるのなぜ僕たちはコルドバに行けないのなぜ誰も守られた自分に気付か…

メモの詩

透き通る日々未知と無知、それが僕の生きがい壊れた潜水艦のようなガラスの声がする 蓮蓮の花それは知らない言葉に似ている そして僕は言葉に縋る音にも縋る 内省的になると声が出ないし外向的になると言葉に病む僕は僕を忘れていく 左脳と右脳に仲直りして…

理性

ドアチャイムが鳴ると、私の体液が震える。 脳髄までが孤独になったような、ひょっとしたら私の命日、 私は上の空、上の空で生きてる、 苦みの空で、ひとり泡立つ身体を抱える。 歌が、私を解体していく。言葉が、音楽が、 私をここではない場所に運んでいく…

縮図

ぬるい海域を、影の重みで推進していた。助けて、という声がするから振り向けた私の首には、目が付いていなくて、ただ白いもやもやした、息のような威圧感に 圧倒されて、怯えていた。 二十四時間は、眠るのに十分ではないから、私は地上で一番小さな虫のよ…

私は、空を置いてけぼりにして飛ぶ、笑ったままで、 息を止める、(血が乾いていく息を止めて、私の指先の奥から、別の生が、別の命が始まっていく、 想像して、想像の、別の歴史の中で、 (感覚は眠り の中へ でかけて行く、昼も夜もまだ産まれない、あの …

ノートから

現実はゆるぎなく ゆるぎなく ゆるぎなく存在している 僕はただその中にいる皆が連関している僕の思考も、聞こえる音楽も ただ愛すること 目の前の現実を今しかなく愛すること それだけで、ただそれだけで僕らは必然のかたまりなのに、 雑音とでさえも、ぼく…

永眠の前夜

背中で 夜は夜は 過去の水面で拡かれた指先のように光り光り光り続けている 人間の物語を半年後に設定する場合何だかストイックなのか冷たい風なのかそれとも夜の風は誰も楽しみの為浴びるというのでもないのか また わたし スケジュールを立てようと思った…

詩を

詩を書いてあげるいっぱい詩を書いてあげるあなたの存在を信じさせてあげる私の病気の重さに比例してあなたが私の詩集を破るとき、一ページずつの快感は加算されていくに、違いないもの あなたの存在を信じさせてあげる あなたをもっと愛してあげる その分だ…

ノートに書いた詩2

モノクロの翼を拡げる 期待は消え去って僕は本を捨てた煙草に火を付けるとすぐにそれを指から離してただ、灰になるままに任せていた 時間は回り始めた僕は遊び疲れたように本が壊れていくと思った図書館は凍り始め僕は今日一日遊びのルールを覚えすべてのゲ…

ノートに書いた詩

1何もかもがひどく冷たいここは花の中? あなたの心には都市がありますか?あるなら公園を二つ、三つ増やして行けば私たちはきっと、この壁の向こう架空の王国でその滑り台で、砂場で遊ぶことも出来ますね……? 2僕の表向きの本性は自虐と自己嫌悪だとも言…