小説

小説風のメモ(シルエット)

φ私にはもう、少しのもので足りた。テラスに出ると、去年植えたアボカドが枯れていた。緑灰色の陽が、私の皮膚に染み込んでくる。私は、少しずつ、思い出を確かにするように、生きていた。生活はもはや私の人生の軌道上にはなかった。私は人々とは違うタイム…

行き止まりはいつも温かく

あざみはギターケースをぎゅっと抱きしめたまま、窓外の風景を瞬きもせずに眺めていた。電車に乗って一時間、僕たちは一言も口をきかなかった。僕たちは東へ向かっていた。今、どの辺りなのか、僕は知らなかった。ヘッドホンを着けていたので、電車のアナウ…