神経の泉

私に時間は無いし永遠もない
私は血に支えられてる
皆年老いて死ぬ?
皆とは誰だ?
私は私が空気に掠れる音と
孤独と言葉と音楽しか
今は何にも持ちたくない

私の中でゆっくり血が騒ぐとき
血の泡立つ音の中で
まだ見ぬ世界の文字が弾ける

私は空き家のまま朽ち果てていった
何度も私は鐘を鳴らした
光線は苦く山脈は斜に切り取られていた

やわらかい  世界
青い  うすい  真水のひらめきに
笑いは 洗われていく 平気
ニューモニアの 咲く 雷鳴の ため息
私は 私じゃない 本の中で――
コンピューターの中で ネットの中の不死の
菌類の中で 文字の墓場で(肉体は細かい穴だらけ)
調べに調べた夜 私は 踊っている

静かにひとりいても
ここには影が舞っている
夕闇がうるさい
性別のない固形のペン先で
蒸発する魂の 警護をしている
私を塞いでいく

何も うるわしい物はここには無い
光は もうどこにも無いんだ