短歌

フィルム

感情が折り重なった映像のように心を照らし出すまで 電子音ばかり流して眠れない夜を光の透度で充たす 毎日を真っ赤な糸でつなぎ止め、ひとりで生きる努力をしてる この街は論理を食べて生きている愛も別れも全て擁して

花火

人が産む光ばかりが鳴りひびく鼓動のままに歌っていたい 目が回る、空をようやく探し当て、涙を宇宙の彼方へ落とす 横顔と後ろ姿しか知らない孤独のルールを破り捨てたい 退屈で平和な街に憧れた。死体だらけの脳波が消えた。 苦しくて誰も嫌いになれなくて…

メロディ

「宇宙……」この孤独な部屋の片隅を優しさだけで満たすメロディ 愛そうとすればするほど愛せないそろそろ死んで終わりにしたい 生活と宇宙の果ての黄昏れが私の中で溶け合う時間 生きたいな生きられたならそれでいい瞼の裏で揺れるみずうみ