2023-10-06から1日間の記事一覧

夜の底

(「流れる川を、君は知っている? 銀の川、金の川を、 夜の底をずっと、流れる川を。」) 誰も、ここには帰ってこない、 世界の輪郭が、藍色を保っている、僕の目の底に焼け残った数々の手付きは、 ゴム風船のように広がって、お腹の痛みにいくつも曲がり角…

手紙

ねえ、まゆさん、そこは寒いですか?この世界の終わりは、僕には懐かしい世界には鏡のような川や、一万年も時を経た石造りの建物があるといいますそれでも僕には、まっすぐに張り詰めた白い凧糸の方が美しいそれは天国まで続き、雨の日の笑顔を手繰り寄せる…

アーキテクチャ

あちこちに報知器が置かれていて、街では大きな物語が流れている。 私はここにいないのに、死体は道路に転がっていて、それを避けて歩く限り私は存在しないと、標識に書かれていて、私はメモリスティックを口に咥えて誰も読まないライトノベルを運んでいるみ…

bloom

藍で染められていた世界から、夕陽が取り去られ、枯れ葉が降る、みんなハンモックの中で眠っている、 聞くこと、それは身体を預けること、死ぬことは太陽の孤独の中で、裸足が地上の全てとなること、 (塗り潰せ、(塗り潰せ、(塗り潰せ、 僕は君といつも一…

うつつ

季節の猫に触れてはいけない、音楽は常に涙でいっぱい、頭を擡げて、性格とは離れて、 乾いた風景、どこを見渡しても、喉が渇いていて、光を浴びて、虹色でマングローブみたいで、 私は楽器の一部になりたい、どんな情報も、私の心に刺さらない、脱皮前の蛇…