神経の夢


実在なんか求めない。無意味の白さを私は最初から知っていて、
命は見ることが出来ないけれど感じた、私は私を躍りで満たした、
空は手を伸ばせば届く距離に、心臓は白くディスプレイの向こうに、
私は孤独を感じたことはなかった、

表面をどこまでも活字で分割していく私は光アレルギーで、光中毒で、
産まれた指先の数を数えると、例えば親指に焦点が合わない。

(私はここに存在して繋がっている、と呟く脳の呼吸以上に心臓が痛いような、
 照らされてない世界の裏側のあなたへの親近感があって、同時に皮肉にも、
 私は私であって、自殺願望で交流している私の細胞同士を、期待しないし、
 絶望しない卑屈な私は、知らないあなたへの願望があって)


夜、夕焼け空、景色の中で、眠る私は色のない、真っ直ぐなふくらみを、
脳内にうけて、失神するくらい遠くの光を、呼吸している、
私は属していない、属していない私は、中で起ころうとしている全てを、
把握している、また識りたがるふりをして、消滅したい、
消滅したいのにまた、痙攣的な思考が、
私を突き破り、私は骸となって横たわる日を、血管で感じる、
それを私は、新たな生命の訪れとして、熱っぽくも慈しんでいる、
…微笑しながら致死量分の血を吐き続けられるなら嬉しい。


君は、存在しない、本当は何も、知りはしないのに、
信頼もしない、人々の口の開け方だとか、
夜は寂しいことだとか、右手で質問をして、
左手で受け答えをしていれば、そのうちに君は、
君自身を君から最も離れたものとして、信頼もしない、
それでもう、夜の柔らかさも知らずに、夜は奇麗とか、星は
好きと言って、背骨を確認して、確認して、目の中を
夜そのものとして、身体中が夜で満たされる瞬間、と
酸素を吸って、安心している君は、
本当は君自身が最も遠くて、そして世界に恋をしている
ふりをしながら、眠りに就く。うまくいけば、
また、愛に出会えるだろう、と友達の架空に
無感情に囁きながら。


呼吸、それが私たちの中に明確に現れるとき、
私たちは朧気にしか存在せず、
そしてまたそれが私たちの相互関係の中では、
最高の存在様式なんだと、つまり
微笑を交わし合うとき私たちは疲労を分け合い、
秘密なんか存在しないと無意識に囁いては、
生きることは恐怖以外の何ものでもないと、
握手して、握手して、手のひらが汗ばんでくると、
徒労が私たちの睡眠薬代わりになる、つまりは
生きているのだから、なんて、嘘を、
切実に求め続けることを、私はやめて死んでしまいたい。