1
実在なんか求めない。無意味の白さを私は最初から知っていて、
命は見ることが出来ないけれど感じた、私は私を躍りで満たした、
空は手を伸ばせば届く距離に、心臓は白くディスプレイの向こうに、
私は孤独を感じたことはなかった、
表面をどこまでも活字で分割していく私は光アレルギーで、光中毒で、
産まれた指先の数を数えると、例えば親指に焦点が合わない。
(私はここに存在して繋がっている、と呟く脳の呼吸以上に心臓が痛いような、
照らされてない世界の裏側のあなたへの親近感があって、同時に皮肉にも、
私は私であって、自殺願望で交流している私の細胞同士を、期待しないし、
絶望しない卑屈な私は、知らないあなたへの願望があって)
2
夜、夕焼け空、景色の中で、眠る私は色のない、真っ直ぐなふくらみを、
脳内にうけて、失神するくらい遠くの光を、呼吸している、
私は属していない、属していない私は、中で起ころうとしている全てを、
把握している、また識りたがるふりをして、消滅したい、
消滅したいのにまた、痙攣的な思考が、
私を突き破り、私は骸となって横たわる日を、血管で感じる、
それを私は、新たな生命の訪れとして、熱っぽくも慈しんでいる、
…微笑しながら致死量分の血を吐き続けられるなら嬉しい。
3
君は、存在しない、本当は何も、知りはしないのに、
信頼もしない、人々の口の開け方だとか、
夜は寂しいことだとか、右手で質問をして、
左手で受け答えをしていれば、そのうちに君は、
君自身を君から最も離れたものとして、信頼もしない、
それでもう、夜の柔らかさも知らずに、夜は奇麗とか、星は
好きと言って、背骨を確認して、確認して、目の中を
夜そのものとして、身体中が夜で満たされる瞬間、と
酸素を吸って、安心している君は、
本当は君自身が最も遠くて、そして世界に恋をしている
ふりをしながら、眠りに就く。うまくいけば、
また、愛に出会えるだろう、と友達の架空に
無感情に囁きながら。
4
呼吸、それが私たちの中に明確に現れるとき、
私たちは朧気にしか存在せず、
そしてまたそれが私たちの相互関係の中では、
最高の存在様式なんだと、つまり
微笑を交わし合うとき私たちは疲労を分け合い、
秘密なんか存在しないと無意識に囁いては、
生きることは恐怖以外の何ものでもないと、
握手して、握手して、手のひらが汗ばんでくると、
徒労が私たちの睡眠薬代わりになる、つまりは
生きているのだから、なんて、嘘を、
切実に求め続けることを、私はやめて死んでしまいたい。