空白の歌(『null』改稿)

0*雨に濡れた日傘を差して歩いていると、情緒がぐんぐん押し寄せてくるようです。街でも孤独になれるイヤホンは、私の防護壁にして武器です。私はひとりでなければ決して生きられない。あらゆる場所に孤独のスペースが無ければ私は窒息してしまうでしょう…

null(2)

*全ての人は深海なので、人は人に簡単に溺れてしまう。浅瀬だけを見て、通り過ぎてしまうことも出来るのですが。私は深海です。深海で出会いましょう。 *私には数なんてもう、何の意味も無い。ヤマハのスピーカーが溺れてる。窮屈になることって人間くさい…

null(1)

*風向き次第で、理由なんてどんどん変わる。生きてる理由も、死にゆく理由も。搾りたてのオリーブオイルみたいに、空気はいつも揺れていて、私が私である理由は、ただ、お気に入りの黒い靴のおかげだったりする。 *アメリカ大陸をつるつるに磨き上げるよう…

(18:57)

高校生の頃 よく聴いていたEDM。 何も かも覚えている。 notebookは、窓・緑の風景――風……私は繋がりが欲しい、道にあなたの街の道路に、立ちすくみたい時計は針で手首に留めた 急にサイレンが聞こえない 躁 神経は冷たいドライアイスみたいに 心 もうみんな…

空間を愛せるまで

あ、ちょっと森のような。配水管の白さに陽が当たってて。理想なんて価値が無くて、死んだら私、衛星になって、永遠に、街を見下ろしてていいですか? 赤いフレームの眼鏡を掛けて、冷たい海を、青く傷付いて、生命線の泉を、ガラスの裸で、ひとり愛しててい…

眠気

眠いとき、私は動物みたいな目を持っている、 あさやけ、 白い虫の羽根が窓からの光に舞っている、 青い雷が地平線から、私の朝を満たしている、 身体が溶けていくような毎日です、灰色と黒の服を着て、二階の震動に心が揺れる、この世がこの世でも、あの世…

その位置: ゼロ

ふわふわ 浮いてる、どこまでも 浮いてる 私は海の中、どこまでも透明に拡がっていく、 私は今、肯定している、否定している、うちが外を包む、 はい、は、いいえを肯定しているし、いいえ、は、はいを肯定している 春、 選ぶ 到着する 、 と書き放して 私は…

好き

好きで、好きで、好きな気持ちを抑えられないときは好きとあなたに言うんじゃなくて、あなたの力になりたいし、あなたのことを祈るだけで、私は生きていて、本当に幸せだと感じます。 あなたはどうして私に良くしてくれるのでしょうか?あなたは人の好き嫌い…

メモの詩

消えてしまう世界の運命の中に、僕も溶けて行く。誰もを許す世界の空の下、僕は僕の重さを捨てられない。空から顔を背け、それでも全てが光る世界を歩いて行くだけ。

ネイビーブルー

兎みたいな。季節感と、昔の記憶。子供の頃は、RPGをしていると、数学の秘密に触れているみたいだった。 ΦとかΠとかrとか。数々のばらばらと、藻の色をして浮かぶ、谷底の集合論、ドット、悲しい数列……。 ノートに、深い海へのダイヴィングを感じる。妹がま…

オルゴール

1誰も私を知らない。誰も私を買えないし、私はどこにも売っていない。私は、甘えている?私は、小さな小さな私の国で、冷たい風の匂いを感じている。 例えばそれは本の中に。例えばそれはピアノの中に。自然なんて滅茶苦茶だけれど、私とあなたの自然は違う…

*夢から覚めて、夢はすり切れた地図のようで、私の肩は濡れていて、口には微かな金属の味がした。 寒さの中で、夜は目を閉じる。私はここに起きている。 釈然としない。 *僕は三十六歳だ。僕は何色にも染まらなかった。風が吹いている。風は、十九歳の頃と…

冷たくなった身体の中で

地球が滅びるとき。最後の雨に、最後の地が濡れるとき。不安の種が、咲かないままに枯れるとき。深い愛情や気遣いの全てが眠りに就くとき。 全てが過去形の中に固定されるとき。キメラのような化石があちこちに積み重なって、枯れた森のようになっている。神…

私の朝

眼の底で、美しい欠片が散って誰もここには入ってこない夕やけに焦がれるのも、今日でおしまい昨日、すべての朝は終わった とろとろと私の皮膚に空をくべて誰もいない土地に巡り来た――画集とパンの酵母の甘い匂いを嗅いでいる 私はただ生きている君は、私の…

レッド

ひと呼吸ごとに私の欲望が沈み込んでいく痛みが欲しい痛みの波打ち際が恋しい 怖かった身体を離れるのが身体という故郷を失うのが もっと もっとだもっと痛くなれ身体という輪郭を割れ 身体の外で迷子になれ麻酔をかけられた宇宙の中で甘く空気を吸いながら …

空っぽの夜を生きている。この地球上には全ての人類を酔わせるだけの情報があって物質たちが動いている、とてもやかましい。雨――退屈が好き。ここが、全て。 みんな普通の人間だ、と信じたい。誰といてもうまく行くって。 私は不可解な人間になりたくない。…

ブルー

血の中に直接空間を溶かして足を腐らせる(肩が落ちていく弱った気分のままハイになっていく 陸上にいた私私がいないなんていう歌の台詞指先が痛いときにしか書けないよ 血がビタミン剤みたいに澱んだら私の血液をあなたに打って注射みたいに転がっていく、…

夜の願いごと

1不思議な、影の力が湧いてきて死ももう遠くなくて、僕は空っぽになる死ぬほど身軽になって、半分天国で生きてるみたいに 全ては思い出に変わる死んだら思い出は何に変わるだろう? 籠の中に入れられた滑らかな鳥そのガラスの目玉のように浅い緑色に、僕は…

気圧

1美しいような、やましいような、奇妙に研がれた気分です。 この本?、この本には詩の息吹がかけられています。ま(だ)新しい本です。この本は、特別な薬効で私の目蓋の裏にあります。 生きているだけで、小さな一粒なのです(宇宙は小さな一粒、そしてそ…

青い夢/リアル

幸福とは時間が過ぎていくこと、 私は幸福の中で選別する。夢は青いたゆたいの中で泡のように弾け、私たちの本の隙間にはエンドルフィンが充満している。偶然作られた宇宙にはそれ故の笑みがあり、私は両手の指と爪で、私の白いお墓を作っている。 CD、レ…

巡礼

心には川があり、その汀に宇宙はある、そこでは死んだ人たちも生きていて、私は彼らがみんな大好きで、彼らは、カプセルみたいな私の心を、ぶち割ってくれる、私の心は水になる。 泣いてもいいし、泣かなくてもいい、と彼らは笑って言い、そこでは、水の心の…

終わりゆく日々

朝が砕けて 光は消えた悲しみのない 破裂した日々私の靴は 磨り減っていて終わりの旅に 今日も出られない 静かに 光る あの太陽が幾億の夢を灼き尽くしていく 消えない痕を 肌に刻みつけよう破滅が私を 捕まえないように涙の味の 薬を飲もう誰からも 私から…

退路の夢

全て、去っていった。僕だけの夢を抱えて、僕もまた去っていくのか。ともかく僕には友達がいた。いたはずなんだ。夢見るのをやめるには、僕はまだ早すぎるのか? ここは寒い。天国のようだ。恋も、恋慕も、感情も、すべて、このまま、消えるのでしょうか?僕…

愛着心の余りある感情に、時計の針を噛む、キーボードは、とてもプラスチックで、かちゃかちゃ鳴るのがいいです、待って欲しい!、って、ビーカーの赤い目盛りに声を掛けるみたいに、舐めていく感情の舟に帆が立っていくし、背中合わせに夕陽の魔法を詠み合…

コネクト

同じ世界の波の中、私たちは頭にいわゆる海を持っている、それぞれが浮いて、果物みたいに、……新聞記事が沈み、その記事の写真では政治家が失脚し、皮肉を書かれ、けれど欄外には、割れた貝が虹色に散りばめられて、悲しい笑顔が、段々天国の笑みみたいに見…

光の朝

遠足の朝、運動会の朝、朝の匂い、光の鈍さと透明さ、失望、失望の朝、こんな朝、過去はどこにあるのだろう?、宇宙はどこにあるのだろう?、 感情で遊ぶ、遠い昔の感情で、 色の無い世界、音の無い世界、透明で、静かで、花しか咲いていない世界、 未知は、…

夜の底

(「流れる川を、君は知っている? 銀の川、金の川を、 夜の底をずっと、流れる川を。」) 誰も、ここには帰ってこない、 世界の輪郭が、藍色を保っている、僕の目の底に焼け残った数々の手付きは、 ゴム風船のように広がって、お腹の痛みにいくつも曲がり角…

手紙

ねえ、まゆさん、そこは寒いですか?この世界の終わりは、僕には懐かしい世界には鏡のような川や、一万年も時を経た石造りの建物があるといいますそれでも僕には、まっすぐに張り詰めた白い凧糸の方が美しいそれは天国まで続き、雨の日の笑顔を手繰り寄せる…

アーキテクチャ

あちこちに報知器が置かれていて、街では大きな物語が流れている。 私はここにいないのに、死体は道路に転がっていて、それを避けて歩く限り私は存在しないと、標識に書かれていて、私はメモリスティックを口に咥えて誰も読まないライトノベルを運んでいるみ…

bloom

藍で染められていた世界から、夕陽が取り去られ、枯れ葉が降る、みんなハンモックの中で眠っている、 聞くこと、それは身体を預けること、死ぬことは太陽の孤独の中で、裸足が地上の全てとなること、 (塗り潰せ、(塗り潰せ、(塗り潰せ、 僕は君といつも一…