Location

私は鳥籠が嬉しい。金網越しの空や、きちんと掛かった鍵が嬉しい。中で音楽を聴いているとここは、私専用の小さな天国のよう。 音楽のリールが回ると、時間は逆流して、金網は溶けて水となり、物語みたいな私の過去が再生される。過去の記憶、それだけが意味…

生存

今、私はベッドの上で、ノートに万年筆でこれを書いているのだけど、こうしていると、布団の上は私の王国だ。ノートとペンだけが、睡眠薬の青い朝焼けの中、うっすらと目覚めていて、他には私の身体と心しか無い。私は私の態度が怖い。理由も無く全てが悲し…

私はもう、何も要らない。iPodに、遠い、遠い空を入れて、病院の屋上でギターを弾いていたい。空の白い魚を釣るように、電線に永遠を見るように、ただ嘘に塗れたこの世界で、与えられた指と、歌の感触を、小さくなって確かめていたい。私の存在の儚さを、あ…

煙に陽が当たりそれが紫に昇っていく白い人影が石垣の傍から溢れては消えていく カーテンなんて無くてよかったのだ 灰色の山で木々たちの死んだ頃僕はカラスについての詩を書いていて庭では枯れた花が揺れていたその山の家はもう無いけれど 今僕は部屋にいる…

七月の鳥

この夏は冷えたピアノと音の無い庭この部屋から透き通った私の手をいくら伸ばしても現実には届かない クーラーの風はやわらかい鉛筆のように私の内耳を朱で染めていく 鍵盤の上で水遊びをしていると七月の記憶は私の細胞の中で三月みたいそれが陽になって差…

夏の朝に

ゆっくり本を読んでいましょうお茶を飲みましょう今日一日は昨日でも明日でもない全ての光が結び合う場所 こんな幸せな日にも私は私を捨てに行く私の残した言葉はどんな釣り人に釣られるでしょう?それは少女でもいいし自然に枯れたような老人でもいい遠いこ…

カーテン

カーテンが揺れているそのカーテンの模様や染みを見ていると何だかここは永遠みたいだな、って思う 1染色体、色、音、分子、時間という何か、 だから私たちは演奏するしかない、宇宙をつかさどる為に冷えていく日常を体温で包む為に ドラッグストアの青い屋…

5枚の葉

ほんの些細なことで人は死ぬんだそしてこの部屋が遺される、という僕の信仰分からないことだらけで、僕はこの世に言語を横取りする泥棒として生まれた 僕の内臓は空っぽの電車灰色に寂れた土地を荒れ狂ってる坂道をすごいスピードで落ちていくとしばらく平和…

花と論理

空にも、アジサイにも目をくれたりしない。あの花とこの花は、どう違うかなんて、考えもしない。知らない虫と、鳥が鳴いていて、麗らかな、曇天の下、縁台にクッションを敷いて、座っている。コーラを飲んで、のんびりと。手にした文庫本には私のため息が染…

内面の海(メモ)

*1あなたたちの拘りの無さがどんなに私の皮膚を抉るか、きっとあなたたちには想像も出来ない あなたがあなた自身を嫌いなことでどんなに私の骨格が軋むか、あなたには見えない 私の中の花にも私の中の本にもあなたはただ名前を付けて外から眺めているだけ …

詩のようなメモ

1心の平和が一番大事なのだ。それからエクスタシーと。この二つがあれば、他の物はあってもなくても、どちらでもいい。 僕は日本の詩の多くは説教くさいと思う。(外国の詩はあまり知らないけれど)風潮だろうか?芭蕉の句の頃から、やっぱり説教くさかった…

本質

1空の編み目を解くように生きていけたらどんなにいいだろう。 虹の空は奇麗だけど黒い空の方が飽きない。 曇り空や、雨が好き。人間の、精神的な匂いがするから。 細胞は天の向こう側、手の届かない場所にあってだから、私は私を眠れない 私との分かちがた…

ひとりの世界は寂しいけれどレモンやピンクの匂いがする魚を捕えた釣り竿はぴんとしなる 僕はそれを手放す訳にはいかないふわりとした雲のような魚永遠に姿の見えない魚けれど決して僕はそれを手放す訳にはいかないのだ

クラゲのように

それでも考えることはひとりだから。 社会は文脈に過ぎない。私の本棚にも社会が詰まっていて、空は量り売りされていて、サバンナの前にも日本があって、ちょっとした5㎡くらいの日本が、私には与えられた。 詩は夏の匂いがする。いつだって夏だ。夏はカプセ…

王国

1ここは、残った王国。それ以上何も求めるな、とキーが囁く。爪を切る。世界が、何を歌っているのか知らない。とても美しい歌で、色が溢れるのが抑えられない。部屋の壁が薄く離れていく。ギターを取り、Aコードを弾く。 とても、とても赤い音。 2英語にも詩…

プラスチックの破片

窮屈な寂しさ心臓が絞り出されるようなドラムの音に合わせて銀色の血が体内で光るような 世界中がコードで繋がっていればいいのにそれとも私の血管がBluetoothで君の静脈に直接繋がっていればいいのに 雨を聴くと、私は雨になる言葉が、君の天国を捕らえてく…

理性はゆっくりと花開く若くなったり 老いたり人はその繰り返しだ人の人生にも朝があり、夜があり日の出前には暗黒がある 命を人に手渡し、取り戻し萎えてはまた雨を受けてそうして人はゆっくりと花開いていく 死は開花死を見るとそこには無数の花が咲いてい…

詩のようなメモ

全てが遠い。遠くて、何ひとつ僕を傷付けるものなんて無い。人たちが何か言っている。それは僕のことであって、僕のことではない。だって僕は、ここにいて、ここにいる僕だけが僕なのだから。何も、感情的に受け止める必要なんて無いんだ。 私は私の静かなね…

泳げない足のままで

あの日の私はとろとろ歩いているこの空気の中はみずうみで、私は言葉の中を泳いでいる、自然に。音楽が流れていて、水槽がかたかた鳴っている。 溶けられる絵がいいみんな、季節や街や人々がみんな、溶けられる絵ならいい世界は、今、言葉と音楽と絵だけで出…

一輪の思い出を

去って行くんだ。感動も、青の青さも、全て残して。紫の影のような、君の残像。空の果て、鉄塔の下、にぎやかな雑踏、発光、愛おしいくらいの生命。何もかもを、残して。 言葉も手紙も、みんな残して。美しい本棚も、筆跡もみんな残して。 新しい熱量、その…

煙とともに

この世はとても淡いけれど、宝石みたいに見える場所があって、ふいに街は夕日に溺れていく。 潰えていく、潰えていく、僕の命。潰えていくだけが命。 僕が綺麗に消えたなら、君は僕から何を受け取ってくれる?静かな幸せと、静かな思い出を、君にあげられた…

世界が歌であったなら

雨が降っている。奇麗な雨が。大人はみんな砂遊びをするべきなんだ。ルールなんて無い。森がさわさわ鳴っていて、空虚な丸を両手に掴んで、いつか砂底に現れるドアを、みんな夢見てて。 世界って本当はきらきらしていて、いつか何ものでもなく死ぬことが、僕…

夕暮れ

甘い記憶みたいに柊色の山を見る 青いほどに青いほどカメラに撮れない雨が降る 空は明るく僕は元気で元気で元気な振りをする 実際僕は死にたくて空を飛ばない鳥たちが金の勘定するように 甘い記憶を数えてて柊色の山の果てには ぶら下がってる猫の幽霊そこに…

ノートと僕と

段々自分、ひとりきりの自分を思い出している昔からいつもノートを持ち歩いているので「何を書くんだ」とよく父に怒られた詩を書くとは言わなかった ペンのインクが減っていきますインクの瓶は健在で揺れる液体が僕には嬉しいです家にいると不安になって文字…

別離

私は誰も幸せには出来ないと知った空は暗くて私はひもじい 昼間は薬を飲まなくなった薬に慰められるのが嫌になったから 今私は万年筆でかさかさ書いていて万年筆の先だけが私の友達だ 私はもう迷わないだろう迷うとしても私自身がそれを迷うだろう 昼は私を…

ゆめは孤独な街

一人きりのポケットに詩を詰める寂しさは風のように私の愛する文字を隈なく埋める 誰もここにはいない誰もここには戻ってこない ギターがありますレスポールですアンプに繋がずそれを弾くと私の骨が産まれます 衝動のままに生きたいですきっと私はひとりのま…

私はここにいて

長らく離れていた世界への便りに詩を書く 私はいつも、ひとりでした私が生きていても、誰も私を知らないし私も誰も知らない 私はとても頭がいいので月と雨の関係を知っています夜と光の関係を知っていますでも私は私を知らないし私とあなたを知らない 私は私…

病的なくらい、澄んだ街。 アセンションを聴きながら彼女と歩いた。 景色の全てが解体されていった。 僕たちは手を繋いでいた。 ここから出て行きたかった。 光が割れる。 銀色の坂道を登った。

僕になりたい

今から僕は僕になれるだろうか? 僕は生きていた。今も僕は生きている。僕は今生きていて、変わらずニック・ドレイクを聴いている。 けれどそれは変わらない記憶を聴いているのではなく、今また僕は、今歌うニック・ドレイクを、今聴いている。 それにしても…

ピンク色の月

空っぽの夜を振る。この地球上には全ての人類を酔わせるだけの酒があって、物質が動いている。とてもやかましい。雨――退屈が好き。ここが、全て。 皆、普通の人間だ、と、そう信じたい。誰と話してもうまく行くって。 だから不可解な人間にはなりたくない。…