あ、ちょっと森のような。
配水管の白さに陽が当たってて。
理想なんて価値が無くて、
死んだら私、衛星になって、
永遠に、街を見下ろしてていいですか?
赤いフレームの眼鏡を掛けて、
冷たい海を、青く傷付いて、
生命線の泉を、ガラスの裸で、
ひとり愛してていいですか?
春の世界を見下ろしながら、
血の雨が降るまで、
ギターを弾いてていいですか?
夜が全て、夢見のいい眠りに染まるまで。
夜の住民たちが、甘い大気を、
たっぷりと食べられて、彼らの満ち足りた身体が、
音楽へと、溶けていけるまで。
空を見下ろし、血を吐くまで歌って、
指先から血が流れるまで、
ギターを弾いていたいです。
それが、私の願い。
眼に映る活字の世界。
そうっと、ディスプレイに手を伸ばす。
腕と空気の境目も無く、空間には座標が無く。
プログラミングされた世界でも愛おしい。
街を見下ろし、私は私の消滅と、
血の濡れた温度を感じたいです。
生きてる間、私は個体で、
がむしゃらに絶望のパズルを迷うのでしょう。
死んだ私は、また眼となり、映る世界をただ聴いて、
人たちの不幸と生活の中にある、
無限の愛しい命の種を震わせながら、
祈りそのもののとなるのでしょう。
ノイズ、全てはノイズです。
ぱっちりと目覚めた夢の中で、
過去も未来も永遠も、生も死も無く、
私は今、私を許してていいですか?
消えていく、消えていく。
全ては、元あったように。
私もまた永遠に、
身を沈めてていいですか?
全てが元あったように。
死後の永遠に、
身体を溶かし尽くしてていいですか?
*
森の冷たい手前で、とてもとても若かったこと。
私は身勝手な私の底に、ひとり沈み込んでいく。
ガラスの地球儀に、×印を付けていくみたいに。
ガス室みたいなベッドで、
ひとり、ビル風を浴びています。
アスファルトの透明さを危ぶみながら。
ちょうど手のひらに乗るサイズで、
歌は溢れています。
*
私は、危うさを、
とても愛しているのです。
好きな人に好かれないから、
この世は地獄ですが……。
結局は、
地球とは幽霊であり、そして沈黙なのです。
*
寂しくて、自分のことが分からない女の子の秋、
冷たい森のようなこの気持ち、
あたりまえ、で溶けてしまう、壁の前、
風にカーテンが膨らんでいる雨の路、
心の帰り道と、安心できる家。
私が私を受け入れられる家。
誰にも変だと思われない、
誰もに必要とされる、酸素になれるような、
……ひとりぼっちで私を愛せる、
部屋をください。