2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

届かない光

1会いたい気持ちを代弁してくれるのは、ビデオテープ、寒暖の差、秋に吹く冷たい隙間風、虫の声、ずっと大切にしてきたいくつかのもの、 私は私であって、私の身体じゃない、 ひとつひとつの物たちが、ものたちの影が、服が、服の皺が、愛おしい。 2届かな…

日記、思ったこと

10月15日(土)、 少し遠くの図書館に行って、小説を借りてきた。陽だまりは懐かしく澄んでいた。小説からは、少しレモンの匂いがした。(小雨の朝とは違う昼の光や、少し遠くに来たという身体の浮遊感とか、風が染みることとか、今また空に浮かんでいる月の…

羽化することのない痛み

この頃は、多分軽躁状態だ。毎日が楽しい。けれど一抹の不安。 今僕はふわふわ浮いていて、ほとんど喋り尽きるということがない。身近にいる母が僕のお喋りの一番の犠牲者になっている。僕は何時間でも喋る。意味は無くて、途切れない音と、滑らかで棘の多い…

流れ行く(メモ)

1スミスを聴いている。BOSEの白いスピーカーで。タイプライターが欲しい。僕の指先から紡ぎ出されていく言葉たち。指先はとてもアナログだから、アナログの書字機械の方が親和性が高いかもしれない。英語を書きたい。とても。フランス語も書けたらいい。世…

個人的なメモ

*子供の頃は、難しいことを学んで、難しい本を読めば、世界の全てが分かるのだと思っていた。僕は知りたかった。ある程度歳を重ねたとき、難解な本を読んだところで、世界が分かる訳ではないと思った。最終的なところは、誰も分からない。自分の生の意味や…

未来が懐かしいこと

ディスプレイが好き。そしてディスプレイに明朝体を叩き付ける10本の指が好き。そして指先に血液を供給してくれる血管が好き。脳と指先を繋ぐ神経が好き。僕は僕の脳が好きだ。キーボードは僕の指の延長。指は僕の脳の延長、そして脳は心の延長。ディスプレ…

夜、月

紙の本が好きだ。それから辞書が好き。紙の。英和辞典と仏和辞典と国語辞典を持っている。どれも表紙は合成皮革で、英和辞典は限りなく黒に近い青黒色、仏和辞典は鈍いワインレッドで、国語辞典は真っ赤。辞書には言葉の原子が並んでて、それらは寧ろ、発さ…

メモ(手のひら)

東洋の美というのが、最近よく分からなくなった。僕は書や和歌や俳句や、日本の昔の建築、書院造りの部屋などが、今も好きではあるけれど、それを見る僕の眼には西洋的なフィルターが掛かっている気がする。万葉集や古事記は端から分からない。富士の山を見…

海の花

「記憶自身が自殺するような朝にね、百年後には誰も私たちのことを知るひとなんてひとりもいないと思ったら、あたしは今日いちにちがちょっとした冒険みたいに思える。ほら」と言って真海は床の青いカーペットに指を這わせて、「もう音楽が始まっている」 そ…

メモ(詩について)

薬を飲むと、本当に気持ちが楽になります。前向きに計画的に生きていこうという気持ちになります。でも同時に自分の感情や、痛みや、共感覚が無くなります。共感覚とは、例えば、何かを触ったときに色を感じたり、……僕はどんな感覚にも色を感じることが多い…

メモ(目覚めていられますよう)

新しいものに対する好奇心は概ね30歳で閉じてしまう、と書かれているのを読んだことがあるけど、それは嘘だな。30歳を超えて好きになった音楽は多いし、20代の時よりずっと、いろんなものに僕は興味がある。でもそれは僕が20代の初め頃から、10年間ほど、あ…

メモ(憂鬱)

鬱状態は特に朝がひどい。毎朝、起きたってどうせ、空虚で不安で、それでいて重苦しい、ぶよぶよになってしまった風船みたいに惨めな一日が待っているだけだと思う。死にたい気持ちがあって、でも死ねるほどの衝動は無い。だから、本当にしばしば、僕は朝、…