メモ(目覚めていられますよう)

新しいものに対する好奇心は概ね30歳で閉じてしまう、と書かれているのを読んだことがあるけど、それは嘘だな。30歳を超えて好きになった音楽は多いし、20代の時よりずっと、いろんなものに僕は興味がある。でもそれは僕が20代の初め頃から、10年間ほど、あまりの鬱で好奇心どころじゃなかったから、鬱が治ってきた今、10年分のブランクを一気に埋め尽くそうとしているのかもしれない。ネガティブなことを書くとするなら、こんなことを書いている今でも、僕は本当には楽しくない。10年間、誓って1秒だって、僕は本当には楽しくなれたことがない。けれど、これから、もしかしたら、本当に楽しい時間が訪れるのではないかという希望に縋って、僕は生きている。……美しい未来が訪れますよう。音楽は美しい。美しいと感じられるようになってきた。それ以上に文学……詩や小説を、本当に、心から美しいと感じられるようになったことは、僕にはもう考えられなかった、期待さえもしていなかった、奇跡で僥倖だ。音楽と言葉と共に歩んでいける。そして多分、きっと僕はずっと人として、人を好きで生きていけるだろう。僕が僕自身として生きていることの奇跡と不思議、宇宙や世界を知りたいという渇望も無くなることがないだろう。……熱量と共に生きていきたい。電熱線のように。白熱灯のように。何より真空管のように。熱く、光に満ちて生きたい。目覚めていられますよう。