届かない光


会いたい気持ちを代弁してくれるのは、
ビデオテープ、
寒暖の差、
秋に吹く冷たい隙間風、
虫の声、
ずっと大切にしてきたいくつかのもの、

私は私であって、
私の身体じゃない、

ひとつひとつの物たちが、ものたちの影が、
服が、服の皺が、
愛おしい。



届かない光について歌いたい。

既製品について。
盗品について、
それから、
ただの私について。



見えない翼が痛い。



神様が、私の無意識を照らす。
ここは王国。

石くれの王国。

赤い、ダウンジャケットを着て行く。

雨みたいな空模様。
全ては光っている。

手を合わせて、
祈りをあげる。

もし、祈りが言葉になるのならば、

感情以外
すべて
捨ててしまえる。