頁を綴じるように目蓋を閉じて、
空を眼窩に閉じ込める、瞼の裏にお店を開けるように
そこで大好きな、銀色の音楽を流せるように
ディスプレイで、ちかちか光っているけれど、それは違う
私じゃない、あらゆるアニメやCGが、私に何かを伝えようとしているけれど
私は画面の真ん中のピクセルの洞穴から、眼を離せない
ディスプレイの向こう側では人たちが笑ってる/怒ってる
でも向こう側ってどこ? こちら側ではヘッドホンの中の私
2023年の音楽が、2023年の扉を私に提示する
私の頭の中、電脳内の子宮の中へ
ディスプレイに向かって笑いかける
「寂しくない?」「恥ずかしくない?」
「ハロー。ハロー、私。…私は何にも感じず、
そこに映るだけの存在になりたいです」
愛着の中心で、孤立した眼の中で、瞼を閉じて、
私は、私を海だと知りたい
あちら側では、薬屋みたいに、引き出しが天井まであって、
陳列台と、「Buy」「Why?」と書かれたサインボード、
私はLPのジャケットを撫でている
年中続く、モニターされ続ける歓迎会、
サムネイルとなって並んだ私のアドレス、認証、
空は昔から、相変わらず掴まえられない、どこまでも
虹色が私に浸みる、脳の中……
ディスプレイのこちら側では
小さな蜘蛛が光っている