2023-01-01から1年間の記事一覧

メモ(寂しさの欠片)

寒さの匂いがする。白っぽいスピーカーから、酸っぱいくらいの、エレキギターの心地良い高音が流れ出してくる。どこまでも作りものの世界で、私が生きている理由は、ただ音楽が血に溶けて、心臓を疼かせてくれるから。 寂しさの欠片はどこででも見付かる。た…

最初のメモ

私は別に何も書かなくてもいい。私が書けるものなんて何ひとつ無い。言葉は私のものだろうか? 違う。「言葉は永遠の雨のように宇宙を流れ続け、紙コップに降り注ぐ」とジョン・レノンが歌っていた。それはただのシュールな歌詞ではなく、事実をそのまま歌っ…

私の朝

眼の底で、美しい欠片が散って誰もここには入ってこない夕やけに焦がれるのも、今日でおしまい昨日、すべての朝は終わった とろとろと私の皮膚に空をくべて誰もいない土地に巡り来た――画集とパンの酵母の甘い匂いを嗅いでいる 私はただ生きている君は、私の…

レッド

ひと呼吸ごとに私の欲望が沈み込んでいく痛みが欲しい痛みの波打ち際が恋しい 怖かった身体を離れるのが身体という故郷を失うのが もっと もっとだもっと痛くなれ身体という輪郭を割れ 身体の外で迷子になれ麻酔をかけられた宇宙の中で甘く空気を吸いながら …

空っぽの夜を生きている。この地球上には全ての人類を酔わせるだけの情報があって物質たちが動いている、とてもやかましい。雨――退屈が好き。ここが、全て。 みんな普通の人間だ、と信じたい。誰といてもうまく行くって。 私は不可解な人間になりたくない。…

ブルー

血の中に直接空間を溶かして足を腐らせる(肩が落ちていく弱った気分のままハイになっていく 陸上にいた私私がいないなんていう歌の台詞指先が痛いときにしか書けないよ 血がビタミン剤みたいに澱んだら私の血液をあなたに打って注射みたいに転がっていく、…

夜の願いごと

1不思議な、影の力が湧いてきて死ももう遠くなくて、僕は空っぽになる死ぬほど身軽になって、半分天国で生きてるみたいに 全ては思い出に変わる死んだら思い出は何に変わるだろう? 籠の中に入れられた滑らかな鳥そのガラスの目玉のように浅い緑色に、僕は…

気圧

1美しいような、やましいような、奇妙に研がれた気分です。 この本?、この本には詩の息吹がかけられています。ま(だ)新しい本です。この本は、特別な薬効で私の目蓋の裏にあります。 生きているだけで、小さな一粒なのです(宇宙は小さな一粒、そしてそ…

青い夢/リアル

幸福とは時間が過ぎていくこと、 私は幸福の中で選別する。夢は青いたゆたいの中で泡のように弾け、私たちの本の隙間にはエンドルフィンが充満している。偶然作られた宇宙にはそれ故の笑みがあり、私は両手の指と爪で、私の白いお墓を作っている。 CD、レ…

巡礼

心には川があり、その汀に宇宙はある、そこでは死んだ人たちも生きていて、私は彼らがみんな大好きで、彼らは、カプセルみたいな私の心を、ぶち割ってくれる、私の心は水になる。 泣いてもいいし、泣かなくてもいい、と彼らは笑って言い、そこでは、水の心の…

終わりゆく日々

朝が砕けて 光は消えた悲しみのない 破裂した日々私の靴は 磨り減っていて終わりの旅に 今日も出られない 静かに 光る あの太陽が幾億の夢を灼き尽くしていく 消えない痕を 肌に刻みつけよう破滅が私を 捕まえないように涙の味の 薬を飲もう誰からも 私から…

退路の夢

全て、去っていった。僕だけの夢を抱えて、僕もまた去っていくのか。ともかく僕には友達がいた。いたはずなんだ。夢見るのをやめるには、僕はまだ早すぎるのか? ここは寒い。天国のようだ。恋も、恋慕も、感情も、すべて、このまま、消えるのでしょうか?僕…

愛着心の余りある感情に、時計の針を噛む、キーボードは、とてもプラスチックで、かちゃかちゃ鳴るのがいいです、待って欲しい!、って、ビーカーの赤い目盛りに声を掛けるみたいに、舐めていく感情の舟に帆が立っていくし、背中合わせに夕陽の魔法を詠み合…

コネクト

同じ世界の波の中、私たちは頭にいわゆる海を持っている、それぞれが浮いて、果物みたいに、……新聞記事が沈み、その記事の写真では政治家が失脚し、皮肉を書かれ、けれど欄外には、割れた貝が虹色に散りばめられて、悲しい笑顔が、段々天国の笑みみたいに見…

光の朝

遠足の朝、運動会の朝、朝の匂い、光の鈍さと透明さ、失望、失望の朝、こんな朝、過去はどこにあるのだろう?、宇宙はどこにあるのだろう?、 感情で遊ぶ、遠い昔の感情で、 色の無い世界、音の無い世界、透明で、静かで、花しか咲いていない世界、 未知は、…

メモ2(草稿2)

* 僕は23年間、精神の病気だったので、23年前の、いいところだけは取り戻そうと思う。同時に僕は沢山のことを知ったし、役に立つことは、いい歳をした大人として、何でも活用しようと思っている。 僕は昔、市役所職員か、たこ焼き屋か、小説家になりたかっ…

メモ2(草稿1)

* 大人になると、ちょっと変わった価値観を持てるようになるから面白い。自分で自分の目標を設定して、自分を変えていく能力を持てるようになる。 僕は子供ではなくなったけれど、未だに大きな遊園地の中は、楽しくても同時に怖くて、片手には風船を握りし…

夜の底

(「流れる川を、君は知っている? 銀の川、金の川を、 夜の底をずっと、流れる川を。」) 誰も、ここには帰ってこない、 世界の輪郭が、藍色を保っている、僕の目の底に焼け残った数々の手付きは、 ゴム風船のように広がって、お腹の痛みにいくつも曲がり角…

手紙

ねえ、まゆさん、そこは寒いですか?この世界の終わりは、僕には懐かしい世界には鏡のような川や、一万年も時を経た石造りの建物があるといいますそれでも僕には、まっすぐに張り詰めた白い凧糸の方が美しいそれは天国まで続き、雨の日の笑顔を手繰り寄せる…

アーキテクチャ

あちこちに報知器が置かれていて、街では大きな物語が流れている。 私はここにいないのに、死体は道路に転がっていて、それを避けて歩く限り私は存在しないと、標識に書かれていて、私はメモリスティックを口に咥えて誰も読まないライトノベルを運んでいるみ…

bloom

藍で染められていた世界から、夕陽が取り去られ、枯れ葉が降る、みんなハンモックの中で眠っている、 聞くこと、それは身体を預けること、死ぬことは太陽の孤独の中で、裸足が地上の全てとなること、 (塗り潰せ、(塗り潰せ、(塗り潰せ、 僕は君といつも一…

うつつ

季節の猫に触れてはいけない、音楽は常に涙でいっぱい、頭を擡げて、性格とは離れて、 乾いた風景、どこを見渡しても、喉が渇いていて、光を浴びて、虹色でマングローブみたいで、 私は楽器の一部になりたい、どんな情報も、私の心に刺さらない、脱皮前の蛇…

インターゾーン

眠いとき、私は動物みたいな目を持っている、 あさやけ、 白い虫の羽根が窓からの光に舞っている、 青い雷が水平線から、私の朝を満たしている、 身体が溶けていくような日々です、ラヴェンダー色の服を着て、二階の震動に歯が揺れる、この世がこの世でも、…

スナップ・ブック

空の甘い匂いがします。今がいつの季節なのか分からなくて、目眩がします。卵細工の中みたいな明るさの中で、空想を組み立てていくことは楽しいです。遠い知識や、場所や、言葉は、回転する小さな粒のようです。粒は集まり、また小さな遠さを形成します。そ…

願い

1寒い 君の隣りでも 僕は朝焼けを見ている泣き虫な あなたが 怪我をしないよう安定剤を 飲む 感情は痛いから痛いから 宝物をうしなうから 予感がしてる死の予感 僕はここにいないから たくさんの愛の流れは 僕を避け ひとりきり僕は死んでいく 寒い ちぎり…

永遠は

宇宙の中と、銀河の中と、機械工場の中では、同じ音が鳴っていて、その中ではピンクの火花が弾けている。 そこにあって同時にここに無いもの、例えば指先の痛み、モミの樹の林の遠景、桜の花びら、夢、サルビアの蜜、庭土に刺さったガラス、北欧の、世界平和…

神経の夢

1実在なんか求めない。無意味の白さを私は最初から知っていて、命は見ることが出来ないけれど感じた、私は私を躍りで満たした、空は手を伸ばせば届く距離に、心臓は白くディスプレイの向こうに、私は孤独を感じたことはなかった、 表面をどこまでも活字で分…

断片

*僕はどうして、描くのだろう? *気怠い夕方に青い雨、手首を感じて冷たい光、レコード盤を発掘するぼくはクローゼットを散歩するぼくは何も求めていないぼくは何も求めていない *期待するのは 乱立する林の地帯に、タンクローリーが冷たく出来る限りゆっ…

スケープ

まだ青い枇杷が、骨の山から、夕涼みの温度まで、甘い速さを下っていく、「綺麗にしてよ」、と太陽が言う、ペン先で人を描く、指先まで死んだ温度、車も、野原も腐っていく、青い、藪や、一面の野薔薇、 死んだ音がする、水面下で生まれたガラスの汽車が葉っ…

水のスープ

僕のオリーブ色の世界は涼しい部屋、僕の部屋へ南端を張り付けて外はいつでも火葬場と、冷たい果物の皮、神経の通った舶来の氷、醒めた屋根、裏庭の水(コミュニケーションと、くらい泡(( ((木の棒に、ヒヨコマメの青い月(((、木々は窓枠に揺れて安寧に、ケ…