今日の光

11月25日(金)、
 落ち着かないときは、本の匂いをかいでいる。うずくまって、ヘッドホンの音楽に溶けながら。外を吹く風も、小鳥の声も遠い。今朝は悪い夢を見た。夢の内容はすぐに忘れたけれど、心の隅が生きている世界ではなく、まだ悪夢に繋がっているような感覚が長いこと続いていた。起きても仕方がない、お前は何ひとつ出来やしないという重たい説得力のある言葉が、頭の中で鳴る。……起きても仕方がないのだ。なにひとつ出来やしない。もう手遅れなんだ。これは、僕自身の声なのだろうか。振り払いたい。でも頭の隅は悪夢に、がっちりと捕らわれたままだ。ベッドからどうしても身を引き剥がせなかった。

 脳の中は冷たくはないし、熱くもない。生ぬるくて怠い温度をしている。その脳から伸びている全身の神経細胞もまた、不穏な温度に染まっていく。

 昼、どうしても怠さが抜けないので、シャワーを浴びる。少し目が覚めた。

 夜。今日はそれなりに読書も勉強もしたけれど、虚しさは無くならない。

 宇宙の存在理由よりも、現在を生きていることの理由を。