メモ(秋)

死ねると思ったら楽だ。誰かの為に死んだり、心中するのはとても簡単。生きて、誰かの為に苦しんで、それでも生きていかなければならない理由って何だろう? しかも、生き抜いたところで、幸せになれるとは限らないし、それで誰かに褒められることも無い。多くの人が、長く生きて、苦しいと言っている。精一杯生きていくことは、それだけで称賛に値することで、僕は、生きている人を、本当にすごいと思う。同時に、早く死ねばいいのに、何で?、とも思う。そんなに苦しいなら。

日本語って美しい。最初は美しいとも何とも思わなかったし、嫌いなときさえあった。でも最近、特に西脇順三郎の詩を読んで、日本語がとても好きになった。日本語が、他の国の言葉よりもずっと美しい、とまでは思わないけれど。

最近、本を読んでいると、ほわーっと気持ち良くなることがある。そういうときはもちろんお酒なんて飲まない。睡眠薬だって控えめにする。お酒や薬で頭を悪くしたくないからだ。それどころか、読み書きを続けるために、心身を健康にしたいとさえ思う。ランニングまではしないけれど、せめてストレッチでもして、血行を少しくらい良くして、とか、普段は1ミリも考えないようなことを考える。

どうすれば生きることは楽しくなるのだろう? カーテンに背中を付けると、ほんのり温かい。昼間からもう、秋の夜みたいに、静かな虫が鳴いている。太陽はとても遠い。僕は一生太陽の向こう側には行けないだろう。金星にも。窓を少し開けて、黙々と読書をしている。白いスピーカーからひんやりした白い風のように流れてくる、ギターの音に浸っている。