天国

僕は、僕が火ならよかった。

生暖かい、パンの匂いがする。
幼少期の匂い。

全ては、凍り付いている。
凍り付いていて、透明だ。

廃墟では火が燃えている。
いつかの日の亡霊のように。

雪の結晶が落ち葉のように張り付いている。
壁に、窓に、空に。

誰が世界を覚えているだろう?
今の僕のこの空気の手触りを。

僕は、火に産まれたかった。
でも、聞いて欲しい、僕はこの道中、
何かが起こるのを待ち構えている。
燃えさかる地球の中心を感じている。

小さなちっちゃな天国を見付けたら、
そこから月を見上げて、

そこが僕のための場所ならば、
緑の風を首筋に感じて、

まるで流れるもののように、
……約束をする前に、

部屋にコピー機を置いていきます。
誰かがまた、僕と同じように、
「カギ括弧」の要らない生を見付けられるように。

火とは、求める心と求める場所の一致。

それにしても生暖かい、パンの匂いがするのです。

春が来るのでしょう。