僕の形を

手を繋げるなんて嘘だ
これは、僕の手じゃない
だけど、僕は遠い機械のような場所
つまりこの身体で、蜘蛛の手のようなこの指で
遠い場所から巣を織っている
その光を見てください

僕の意識は殉職している
遠い、溜息のような、湖のような場所で
でも、僕の織る巣は本物だ
――きっと、遠い宇宙では

平和や愛を歌わない
もはや、それらは悲しすぎるから
手に入れた、そして手に入れたい
家具や楽器について歌わない

失われた歌や、いつか見た空、
涙のように佇むカフェテラス、
千年後の廃墟から街に降る雨、
悲しみ、みんな悲しみを歌う、

戦争は心臓を殺し、恐怖を殺し、孤独を殺し、
平和のために発電所以外の
全ては滅びていく
立ち上がれ、なんて僕は言わない
みんな眠れば、みんな平和なのに
僕は何もかもが嫌いだ
何も教えられたくない
僕はひとりになりたい
怒りを生むために、
絶望を孕むために、

好きな人は、好きに生きればいい、
僕は僕の巣に全てを込める
それは誰もいない場所で真っ直ぐに光る
訪れることのない未来のために

何も要らない
誰もいない
でも、気付くと手を伸ばしてみる
何処に? 誰に向かって?

悲し過ぎるよね、世界って
改めて朝になれば「おはよう」を言うための誰かが誰にだっているはず

ガス灯の下で物言わぬ魚に出会うように、
冷たい鉄釘のように意味の無いくつろぎを得て、
脳が想像出来る限りの宇宙の辺境、その外れで
機械よりも機械っぽく笑いながら、
僕は織っている
朝も無く、昼も無く。