シューベルト、みたいに

ただ一曲の歌を弾いて
この人生を終わらせたい
それだけでいい

ううん、それだけで完璧だ

寂しい孤独な誰かの記憶
あるいは鳥の生
そんなものでこの地球は出来ていて

寂しさ以外の全ては
梅の花の色をした
土の上の影みたいなものだ


だから私は何にも要らない
おどける人も神さまも皆
梅の花のピンク色に染められて
空の向こうに去ってしまうのだから


今、私には私の指が見える
いつかこの指が誰かの指に触れるなんてことがあるだろうか?
触れたとして、それは触れたと言えるのだろうか?

この指は奏でるため
朝、誰かの脳のシナプス
黄色いパルスを発生させて

そして骨になるため
骨さえ千切れて、
空いっぱいに霧をかけるため
誰かの脳裏に
空いっぱいの、浅い霧を


私は消えてしまう
誰かの脳を風のように霞めて

私ではない誰かの歌に包まれて
私はすぐにでも消えてしまう


しかしそれでも死ねないならば、
この指が千切れるまでギターを弾く
キーボードを叩く、正確に
最後の歌を、歌うために

生きていく? 死んでいく?
私の生は、私の調べ
生きるにしても、死ぬにしても
残せずとも、誰かの耳に残るとも
この時間を真っ直ぐに、、死と共に
(とにかく今、私は生きていますね)
生きようと死のうと、音と言葉に私の孤独を
込めて、込めて、込めて、、、
いつか死んで、死んで、死に続けて、、、

それだけで完璧なんだ