音色

霧。キリ。真っ赤な霧。
みな傷口を剥き出しにして歩行する
融解しながら、靴底と風の硬い感傷を、軽く
人間であることを忘れかけて、白く

集団的に、左脳も右脳も充血して
人間と飛行機の間、痛い痛い悲しい音楽を
ヘッドホンの中で切り刻まれて、
泣きたい人だけがきっと、勝者

人間に見えるのは、聞こえるのは、
いなくなった人たちの痛々しい残り香、
人間だけ、人しか見えない
誰も悟らないで。

夢よりも確かな孤独の中で、
詩だけを書いて、疲れていればいい。
キーボードとギターの間で澄み切った血を流して
気が遠くなるほど、罅入るようにひとりっきりで……死に続けて。