世界が歌であったなら

雨が降っている。奇麗な雨が。
大人はみんな砂遊びをするべきなんだ。
ルールなんて無い。
森がさわさわ鳴っていて、
空虚な丸を両手に掴んで、
いつか砂底に現れるドアを、みんな夢見てて。

世界って本当はきらきらしていて、
いつか何ものでもなく死ぬことが、
僕たちの唯一の希望なんだ。
青い花が咲いていて、一日中地面を探しても、
蟻がいなかったんだ。

ここでは雨が降っていて、アスファルトは冷たい。
そこでは世界は奇麗ですか?
シグナルを送り合う電線は、
今も君に繋がっていますか?

人間。僕たちの細い靴音が、
みんな天上に吸い込まれていく。
結局は人間なのだと思うと、
どんな言葉も愛おしいです。
みんなレコード盤のように、
ぐるぐる回っていて、
僕はそれをずっと眺めている。
小さい、琥珀色の空間の中で。

そこでは世界は奇麗ですか?
君は自殺を覚悟していますか?
僕は宇宙人ですか?

イギリスに住みたいと思いながら、
何処だっていいと今は思います。
君は奇跡で、愛する人間の形。
僕は、デスクの上でコリシディンの瓶が藍色に光っていて、
頭の中で神経の針がちくちく分裂して、
旅の途中で幽霊にでもなった気分です。
……優しい風が吹いて。

何もかもが新式の古い廃墟。
雨が降っています。意味もなく、またそれだけが意味として。
君もまた宇宙人ですか?
神経質な優しさを、指先にたたえて。

いつしか空が降りてきて、
全てのコンピューターを浸すとき、
僕はギターを弾きながら、楽しい歌を、歌いながら、
君もまたいつかの緑の公園で、
僕と砂遊びをしてくれますか?

何も言わず、永遠の微笑みの中。
花のように。

  狂った世界から、僕は出て行くのです。
  いつか歌だけが、僕らの言葉になったなら、
  全てのコミュニケーションは、
  朝焼けの信号機のように孤独と孤独を繋ぐでしょう。

  点滅して、点滅して、
  赤と緑の点滅の中で、
  君は僕の面影を見て、
  僕は白い、白い、真っ白な手で、
  君を孤独な宇宙の果てに連れ出すでしょう。
  あるいは濡れて、透明な惨めさで笑む僕を、
  君はいつまでも覚えていて……

朝焼けの中、夢の中、
地球の底の、優しい夜の繋がりの中。

君は空虚な両手の砂を、
僕の大切な砂の山に、
そっとかけてくれますか?

光の中で、光の中で、
いつまでも続く、死出の旅の中で、
いつか本当に僕を感じてくれますか?……