僕になりたい

今から僕は僕になれるだろうか?

僕は生きていた。
今も僕は生きている。
僕は今生きていて、
変わらずニック・ドレイクを聴いている。

けれどそれは変わらない記憶を聴いているのではなく、
今また僕は、今歌うニック・ドレイクを、今聴いている。

それにしても僕は生きていた。
それにしても僕は生きていた。

それにしても僕は生きていた。
僕は生きていた僕を悼み続ける。
悼み続けることが出来る限り、僕は僕でいられる。
僕は僕であり、僕以外の何ものでもない。

僕が望むもの、僕が好きなもの……、
そんな簡単なことを知るのが難しい。
生きていた僕には、問題にもならなかったのに。
今僕は拡散していく僕を寄せ集め、
夜中、少しの間だけ、僕を生きていられる。

静かな部屋が欲しい。
静かなひとりの部屋が欲しい。
僕は僕だ、僕は僕だ、
という言葉は、どこから繰り返されるのだろう?

僕は僕になりたい。