ピンク色の月

空っぽの夜を振る。
この地球上には全ての人類を酔わせるだけの酒があって、
物質が動いている。とてもやかましい。
雨――退屈が好き。ここが、全て。

皆、普通の人間だ、と、
そう信じたい。誰と話しても
うまく行くって。

だから不可解な人間にはなりたくない。
泣きたい。泣いて、
愛されたい。愛される価値があると、
私を信じたい。

アパートの部屋は畳敷きで、
先の住人が畳を換えていた。
いろいろなものが壊れていくし、
いろいろなものが捨てられてくし。

そして私は変わらずに、
遠い遠い国を描いてるのに。

例えば、
君が呼んでくれる私の名前が好き。
君といる時間の一秒一秒が好き。
君が帰った後も、私は君の空気を残しておきたくて、
しばらく明かりを付けないままでいた。
――そういう国の話。
、遠い、遠い国の話。

ストーブの消えた匂いが鼻をつく。
私は私を抱えたまま死んでいくと思うと
あちこちで取り落としてしまった自分を全く思い出せない
ことが悲しい。

ねえ、これらは実際、あるのでしょうか?

私は、死んで私になれるでしょうか?

月が上がってくる。
大切な太陽は過ぎてしまった。
大切な太陽は波打った悪夢のように私を死に誘う。
ネガティブなタイプの死。

  雨が上がって、風が吹く
  昼間は夜を蹂躙し
  夜は昼間の時間を殺す
  それでも私は
  ここで私は
  次の雨間を待っている
  透き通った歌が聞こえる

ピンクの月が昇る

やがて次の薬が効いたなら
私は私の疲れを放って旅に出よう

ピンク色の月が昇る

次の薬が効いたなら
次の薬が効いたなら
私は


ピンク色の月が全てを覆い尽くし
全ては海となりますよう……