孤独

孤独、
孤独の中で何が鳴る?
私は嘘ばかり吐いていて、
夜は洋服の風呂に入る。

自分だけは分かると思っていた
誰にとってもどうでもいいことでしょうが
感情とは乗船です
知らないことは知りたくない

私は私の繭に入っていて
ペンギンとなって産まれ変わるのです
深海を泳ぐ、大気圏の外を浮かぶペンギンに

ああ、何か、何かあったと思うのです

一冊のノートを感情で埋め尽くしたいのです
それを君に手渡したいのです
私の神経で詩集を編んで、編んで、編んで
涙を落として滲んだインクを
君に伝えたいのです
(ちなみに言えば、泣くなんてくだらないことです
 涙より、印刷所のインクに血は濃い
 込められた思いを捉え損なわないよう
 純粋さだけで生きて
 白と黒との
 栄冠に)
 末端に)



遺伝子とは電子 空気の傷
都市とは傷の総体です
だから私はロックが好きです
ギターって血みたいでしょう?
血が遅延・延長して、虹が出る

より血が濃い方に、より夜が深い方に
泳いでいくばかりです
虹が出て、虹が重なり真っ白になり
私はうつつの鬱の身体に
潮を浴びる、そして骨を帯びていく

ペンギンは繭に戻り、繭は何に戻るか?
私は洋服の海に溺れ、嘘を吐き
万年筆で幾つも地平線を描き、
孤独にかこつけて、
世界もこれでもう、見納めなのかと思うのです

雫が一滴垂れて来ます、空から、
空よりも高くから、高い、高さから無言に
死の小さな飴玉のように、私はそれを舐め、
毎日小さなそれを舐め、
私の死の、死の死も、

空も、空から落ちる真っ赤なギターの音も
みんな夢のように死を帯びるかと思うのです


**
それにしても今日は西陽が綺麗でした
街に居並ぶビルが綺麗でした、輝いてて
空気はiMacの画面のように澄んでいました

ひとりひとりの温もりは、分散して
白い街をどこまでも上っていき
やがてはそれも雨と共に道へと沈み
分散し、蒸発して

見納めの虹となるのでしょう、
虹もやがては嘘になり、
嘘もまた、綺麗であるのでしょう

私は生きます
生きて書いて、歌を歌って
ギターを感じて、感じ感じて
そしてそれはどうなることでしょう?

冬の道路の車の中の後部座席の曇ったガラスのワイパーの音の
……
感情とは、咲いた野花に掛かった鍵のよう
それは透明な石ころのような
眼と耳の奥の冷たい
静かな、宇宙でもあるのです

宇宙の中で歌を歌って
今日も私は潰れました、とても
とても綺麗な夕暮れでした
立ち並ぶビルが綺麗で、電線は
どこまでも続く温かな、
しっかりした絹のようでした
何処も、何処までも、そこが何処かではあるので
道路もまた浮かぶものであることを
靴の底に反発する喜びに、
街は白い四角い、心臓のようでした


***
帰って手洗いうがいして
中也の詩集を読みました
身体は半分しか無くて
心は未だ街にいました
それでも中也を読んでると
迷惑なんて考えが無くなります。

薬を飲んで、ギターを弾いて
今日も何かそれに近付けることを
言葉と私と音楽が
涙よりも血よりも強く、水よりも透明で、
しなやかであることを
感謝より深い気持ちで祈ったのでした