言葉

(夕焼け
 ここがお化け屋敷なら
 私はお化け屋敷のことを愛するよ)



ノートの頁を捲るたび
荒野が見える
純真なものは
天国にはいない
血だまりの中
肌を切る風の中

血が乾いていく
全てが化石化していく
血小板が道標になる
天使は傷付いた眼の中

信じなさい、と聖書は言う

負債さえ無い
裏切られ
裏切られ
裏切られ
全ての天使が死んだ後

乾いた血を噛む
ノートの荒野に吐かれた血
全てを引き剥がし
切り捨て
燃やし
食べ

手に残るもの
乾いた涙
死んじゃったよ
全て死んじゃったよ
僻む私の手の中で
眼の中で
血を吐く私の中で

天使の死体
どこまでもどこまでも続く
醜い純真の影
不法投棄され
蔑まれ
腐り

私は天使と和解しない
私は天使に笑みを
送る

頁を捲る
純真なものは
いつも荒野の中
身を切られて叫ぶ
血の中に
そこから乾いて伸びていく
樹脂のようなにおい

  まるで税金のように
  肉が削がれていき
  私の骨は剥き出しになり
  尖り
  凶器のようになり
  朽ち

砂の上に何かを描き
風となり
消えていく

天使と和解しない
流れているのは血か涙か
いずれにせよ関係ない

いずれ全ては荒野に還り
純真なものは
傷付いた眼の中に

何ひとつ語ることのない
もと来た道の眼の中に



和音はいつも温かく涼しくそして冬のように
「ここでFコードを弾いて、次はC」
Fは緑の淡い風の色
Cはまるで夏休みの石ころ
風は石ころに吹き
石ころは……

かくあるものはかくありますよう
私の身体は私の寝殿
そこに立て札が掛けられていて
すべては、そのままに
そのままであることが
報われますよう
こう書かれている
「苦しみがあなたのお家
 洋服を脱がなくてもあなたはあなた
 ようやく辿り着いたあなた自身の悲しみを
 お泣きなさい
 さあ、
 お入りなさい
 気の済むまで、ここにいていいのです」


そういう訳で僕は
苦しみの温かな毛布に包まれ
長い長い徒労の旅を続ける
ギターを入れるバッグも買ったし
お皿も買った

二度目の言葉を見付けるために
不公平な街並み
そこであなたにあげる花
何度も、
何度も
ドアは優しく叩かれて
僕は答える言葉を探している