宇宙はいつも最後の笑み


ひとつの魂が消えて
星がひとつ増えても、何の意味も無い
僕はあなたの存在と
あなたと話せる現実だけを望んでいるのに

理想だけが燃えて
理想なんて無意味な地上が残るとき
寂しさの中で
僕は死ななければならない
寂しさだけが唯一
僕が生きて抱いていられる
純粋さだから

この世界には百億もの
人がいるけれど
僕が話したいのはあなただけだ
僕にはもう恋愛譚も書けない
ただ洋服を着た恋愛の内
日常が、永遠に続く物語
あるいはただの、終わりしか
描けないと思う

前髪を触りながら思う
これは一体何だろう?
宇宙の端だろうか?
指に毛先が絡まり抜けていく
希望とは何だろう?
まだ燃え残った季節が巡り来て
地球は疲れた息を吐いている

あなたといるだけで良かった
他にはどんな景色も要らない
昼間 脳が脱水していくように
僕の日々も透明になる

僕は僕の消失を望む
ただお気に入りのペンをポケットに入れて
届いた葉書を夜には燃やして

僕は僕の消失を望む
誰もいない土地で
何もかもが燃え尽きていく風景を
あなたと見ていたかった



僕は何も産まない
僕は僕の手を燃やす
僕は僕の手が砕けていくのを見ている
いつかギターが弾けなくなるまで

いつも三日前
全てがデジタルの海で浮遊して
霧になる
霧になる
映写幕が擦り切れるまで
現実が裂けて粉になるまで

指の骨でギターを燃やす
心を燃やす
心を燃やす
薬も要らない
お金も要らない

あなたは快感になり
僕は快感になり
全ての苦境は虹になる
歴史も燃えた
誤解も嘘もきれぎれに

燃えていく
世界中のギターを買おう
宇宙の終わりの博物館で
僕は僕たちの骨を売ろう

笑いながら、ねえ
蒸発しよう
デジタルの海で
心臓の肉を切り出して

全てが現実となって眼を閉じるまで
重力は炎
重力は灰
全てが肉眼に溶けるまで

笑っていよう
笑って
笑って

  もう 逆らうのはやめよう
  僕がいて あなたはそっぽを向いていて
  明るい昼間の草原の中
  僕はあなたの名前を呼びたかった
  寡黙な本みたいに

笑っていよう
世界は粘性で
燃えやすい
僕はあなたの名前を呼んだ
手紙に火を付けた
笑っていよう
薬瓶みたいに割れやすく



僕は消滅を望む
とってもあかるい消滅を望む
電車みたいに
通り過ぎていく意識に向けて
骨の手で
骨の手で
ギターを弾こう
アンプが星になるまで

僕はあなたと爆発したかった
星が増えて 星が増えて
あの星 くすんだネックだよねと
笑いたかった

あなたと話をしたかった
骨がギターとこすれ合って
燃え尽きていく
燃え尽きていく

あなたがいたら笑えたんだけど
涙の行く末 砂 塵 錆び 灰
未来は過去の焼却場

みんな間違っているよ
金色のスピーカーの向こう
僕たちの手は ただの発火剤だ
あなたは純粋だからとても燃えた

僕はもう全てを弔っているのか
寿いでいるのか 分からずにいる

明日は本を燃やしに行くよ
そして地球が次の氷河期を迎えるのを
スピーカーを抱いて待ってる
これは日常的な話

ただあなたといたかったな
あなたと爆発したかった
あなたは宇宙の最期の笑みで
その色は……



つまり物質とはエネルギーだから
僕は徒労さえも好きだよ
あなたの宇宙の最期の笑みで
本はよく燃えるよ

きっと僕とは認識で
色はさっさと鈍く燃えるから
ギターを抱いて、詩集を抱いて
僕はもう そう、遠くなく
眠ることさえ出来るかもしれない

そう思う

きっとあなたは空じゃなく
僕の意識を死に続けて色になり
あなたは僕を死んでいるかもしれない

弦を巻くよ
血が出るまで歌うよ
詩は現実
ぼろぼろに擦り切れた水を浴びて
形ある僕の身体は
もう歴史とは呼ばれない
そうなりたい

生活

あなたは宇宙の最期の笑みで
僕の脳は追いつけないかもしれない
僕の手は燃える
あまりに緩慢な速度で

生は燃えていく
認識は遺書
来世は無い
あなたの不在が無限な分だけ
僕は全てを知った

詩は現実
永遠の痒みと吐血と真っ赤なギター

僕は生きるよ
僕は元気です、なんて
生とは自殺です
分かってるから

僕はあなたが生きてる現実が良かった



まるで予防接種みたいな気がする
世界なんて